Y邸

築100年の古民家を下屋部を鉄骨フレームに置き換えることで耐震補強し、壁量を増やさず、南北面の大きな開口と田の字プラン、3世代の暮らした雰囲気を残した改修

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物件名 Y邸

所在地 岐阜県大垣市
竣工 2009/10
敷地面積 678.24m2
建築面積 264.05m2
延床面積 308.94m2
構造規模 W造+S造 2階建て
構造設計:藤尾建築構造設計事務所
施工: 八創建設株式会社+真建

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築90年の伝統木造家屋のリノベーション。
クライアントの、「古い柱梁と、風通しのいい続き間がとても気に入っている」というところからプロジェクトは始まった。

最大の課題は既存部を構造的に法適合させることだった。既存部分は壁が極端に少なく貫でもつ構造で、柱脚は束石に乗せただけである。
まず古い伝統木造を現行法規に適合させる方法としては耐震改修がある。しかしこの方法では壁量を満足するために連続感のある本来の空間が失われてしまうことが分かった。検討の結果、下屋部分を取去った上で増築部分をS造とし、既存木造と一体の構造としてS造に水平力を負担させることで続き間の連続性を担保した。

新しく加えられた部分には家族の個室や水周り、バッファゾーンでもある縁側等が含まれている。
今回既存木造は2階建のメインフレーム部を残し、平屋建ての下屋部分は現代的な要求に応じて置き換えられたが、これは伝統木造が本来的に持っている構成とも言える。機能を限定しない多様な使い方を許容するユニバーサルスペースとして続きの間が中央にあり、これを補完する下屋部分が周りに巡らされる。そして下屋部分はその時代に応じて改修を繰り返されてきた。今回の計画でも同様に、構造的、環境的、機能的にサポートの役割をする鉄骨下屋部分によって、建築全体が新しい空間として生まれ変わることができた。